告白の手紙を渡した翌日の夜、彼から電話があった。
心臓バクバク。くつろいでいたので心の準備ができていない。パニック。
でも、出るしかない。どうしよう。どうしよう。震えた手で電話をとる。
私「はい。」声が震える
彼「もしもし。」
私「読んでくれたん?」
彼「はい。」 長い沈黙……
彼「あのーどういうことですか? 意味がわからないんですけど。何回も読み返したんですけど、全く意味がわからないです。」
私「え!?」
第一声が予想外すぎて固まってしまった。
私「あれは。あの手紙は。あの手紙は~あの手紙はぁ~ わぁあああああ~ん」
やばい。緊張と動揺と予想外の言葉を言われて悲しいのともういろんな感情が出てきて泣いてしまった。
彼「なんで泣くんですか? 意味がわかりま・わかりませっせん……っ……、ぅ……」
あれ?彼も泣いてる?なんで?
私「なんでハヤシ君まで泣くん?意味わからん……んぁああああ~」
彼「だってマユさんが泣くからぁああああ~」
なんだこ状況は……。
2人とも泣いてしまって全然話にならない。喋れない。
まるで2人とも号泣議員みたいだ。
私「ごめん。ちょっと1回切っていい。ちょっと気持ち落ち着けてからかけ直す……っ……ぅ」
彼「わかりました……」
自分が手紙を渡したんだから、ちゃんと言わないと。もう泣いてはいけない。
気持ちを落ち着けて、彼に電話をかけた。
私「ごめん。ごめーん!」
彼「大丈夫ですか?」
私「大丈夫やで。あの手紙は、読んだらわかる通り告白の手紙やでっ!」
恥ずかしいので、もう敢えて軽く明るく言うように努めた。
彼「え?はじめは、そうかな?と思ってびっくりしたんですけど、なんか僕の悪口というか否定的なことばっかり書いてたじゃないですか。なんか怨念みたいな。実は僕のこと嫌いやったんかな?とか。でも好きとか書いてるし。もう頭が混乱してます。しかも、めっちゃくちゃ読みにくいし。13の続きは2の裏へとか書いてたけど、全然違うし。まず解読するのにすごい時間かかりました。内容読んでもっとわからなくなりました。」
めちゃくちゃ言うやん(汗)
告白の手紙渡したつもりなのに、ひどい言われようだ。しかも若干キレ気味だ。
私「………。ごめん……。悪口っていうか、あの時あんな態度とってしまったり、そう思ってしまったのは嫉妬心からやでっていうことなんやけど。嫌いとかじゃないし。嫌いやったら手紙渡さないし。便箋がなくなって裏に書いたらもう自分でもわけがわからなくなって……。読みにくかったのはごめん。」
彼「「じゃあ、悪口の部分は書かなくて良くないですか?僕傷つきました。なんであんなこと言われなあかんのかなって。」
マズいぞー。マズい……告白の部分じゃなくて、悪口の部分が完全にフィーチャーされている。
彼「隣の席のハナコさんとは普通に話してるだけなのにイチャイチャとかそんな風に言われたり心外です。それで、ハナコさんに冷たい態度とったりしてたんですか?それは、最低だと思いますけど。最近そういう場面何回か見てしまって嫌だなぁ~マユさんどうしてしまったんやろって思ってました。」
なんなん!? なんか腹たってきた。
だから嫉妬だっつってんだろっ!詫びも入れているやろ!
私「好きなん?ハナコさんのこと?あー。あーいうチャラい感じの女が好きなんやな~わかりました、わかりました。」
ますます言ってはいけない事を言ってしまった。何を言ってるんだ私は。
彼「違いますよ!ほんと最低ですね……マユさんそんな人だと思ってませんでした。」
私「とりあえず、手紙もう捨てて。絶対人に見せんといてな。」
彼「捨てられないですよ。それに見せるわけないじゃないですか。何言ってるんですかっ」
私「いや、捨ててな。はー。もう切るわ。もう疲れた。さいなら。」
切ってやった。
はーーーー。何をやってるんだ私は。ほんまもののバカだ。バカやろーだ。
自分が嫌になる。でも、なんかアイツもムカつく。私の告白の部分には一切触れなかった。
というか自分が告白してるんだから私から言うべきなのだ。逆ギレしてしまった。最低だ。
思い出したらあの手紙の内容は、意味がわからない上に恥ずかしい言葉の羅列。捨てないで置いといたら彼の友達が来て見てしまったらマズい。第三者に絶対見られたくない。人に見せて笑ったりそう言う子では絶対ないけど、意図せず見られてしまうこともあるかも。見られなくても持っておかれるのも嫌。何回も読み返されるのも嫌だ。あー思い出せば思いだすほど恥ずかしい手紙だ。んーどうしよう……
そうだ!回収に行こう!
あんな手紙もう持っておかれるのも恥ずかしすぎる。
それにあんな変なケンカの電話のまま終わっていいわけない。
手紙を回収して、ちゃんと自分の気持ちを言葉で伝えて来よう。
決意した。そして彼にメールを送った。
私:さっきはごめんなさい。やっぱり手紙置いといて。回収に行くから。
彼:いえ。僕もすみません。手紙回収にに来るんですか?ほんまに言ってます?東京まで?
私:うん。そう。もう決めたから。それに電話ではうまく話せないし。
彼:わかりました。
その翌日、私は高速バスに乗って東京に向かった。骨折した足で。
つづく