彼の家は、引越ししたばかりなので段ボールばっかりだ。
とりあえずルームツアーをしたあと、本題に。
私:手紙どこ?誰も見てない?(テレビの横に置いてあった。なんであんな無防備なところに!)
彼:見てないですよ。
私:じゃあ、回収します。
彼:はい。で、ちゃんと話したいと思ってわざわざ来てくれたんですよね。
私:うんそう。(まだマスクしている)
私:色々いやなこと書いたり言ってごめんな。自分がこんなに嫉妬深いと思ってなかった。
彼:いえ。それはもういいんですけどずっと友達だったから、好きだとか書いてるからほんとにびっくりしました。
私:うん。びっくりするよな。なんか私……なんか…
だめだ。緊張しすぎて泣けてきた。マスクが口に張り付いて死にそうだ。
喋ろうと思っても声が震えてなかなか喋れない。
私の次の言葉が出るまで彼はずっと黙って待ってくれた。
かなり時間がたってから
私:私もずっと友達と思ってたんやけど……いつからかな?気がついたら……気がついたら…っ……ぅ……(だめだ。喋れない。)
私:ちょっと言いたいことメールに打つから待ってくれる?
彼:直接会ってるのにメールですか?いいですけど…と言って笑った。
結構時間をかけてメールを打った。
私:メール打ったけど、やっぱり内容、自分の口で読むから。
かなり長い文章を私が読み出した。長くて長くて彼が眠りそうになってた。無理もない。もう深夜2時すぎてる。(ブログをご覧の通り、私は文章を短く端的にまとめるのが苦手だ。)
彼:あのーそれいつまで続きます?
私:え?まだ中盤やけど。
彼:嘘でしょ。もうそれ貸してください。
私の携帯を取り上げて、読み始めた。途中、うーん。そっか。あー。えっ…とか呟きながら。途中寝たり起きたりしながら読み終えた。(どんだけ長い文章だ…嫌がらせでしかない)
彼:マユさんの言いたかったことよくわかりました。ありがとうございます。ほんとに嬉しいんですけど、僕は本当に大好きな友達と思っていたので、正直いうとショックでした。でも、やっぱり僕はマユさんとずっと今までみたいな関係でいたいです。それに年も離れすぎてるし。今まで通りの友達でいたいです。
玉砕。そっか。なんというか…予想通りといえば予想通り。
でも、向こうも私のことが好きなのかなって思った行動があったんだけど。
この際聞いておこう。
私:私のこと、ちょっとでも好きかなって思った瞬間とかなかった?
彼:ないです。(即答)
私:一瞬でも?
彼:ないです。(即答)
私:1ミリも?
彼:ないです。(即答)
めっちゃ答えるの早い……(涙)キッパリ毅然とした態度で言った。清々しい顔すらしていた。
そうか。そうなんやー。そっかそっか。一瞬もなかったのか……へぇー(泣)
終わった。終われた。スッキリした。ちゃんと言ってくれたおかげでやっと終われる。
もう、日が明けてきた。もうちょっとで始発の時間だ。
じゃあ、もう帰るね。送らなくていいから。ほんとにここで。と言って部屋を後にした。
折れた足の指が疼く。ゆっくりゆっくり歩きながら駅のある方へ向かった。でも全然、駅らしいとこが見えてこない。道ゆく人に駅の方向を聞くと全く逆だという。はーこの距離、また戻らないといけないのか。やれやれ。(私は極度の方向音痴だ)
なんとかまた彼のマンションのあたりまで引き返した。
すると上の方から声がした。「何やってるんですかー?」笑ってる。
彼:上から見てたんですけど、全然違う方向歩いて行くから。
私:見てたんやったら言ってよ。
恥ずかしい。また恥ずかしいとこ見られた。
自転車乗ります?
いいと言ったけど、彼は自転車を持って降りてきた。足が痛くてこげないので、私が乗って後ろから彼に押してもらい駅まで行くことにした。子供がごま付き自転車を卒業する時のスタイルだ。なんか恥ずかしい。さっきフラれたばっかりなのに…
駅に向かう途中、「あれ見てください。スカイツリーですよ」と彼が言った。
(当時スカイツリーができたばかりだった)
スカイツリーが建物と建物の間から見えた。
早朝に2人で見たスカイツリー。なんかキラキラしてて、すごく綺麗で……なんか泣きそうになった。もうそれだけで十分だった。付き合うことにはならなかったけども。
そうして結局、駅まで送ってもらい東京を後にした。
以上が、私の世にも奇妙で滑稽な告白の話だ。
年も離れすぎてるし…と言われた私。
現在は結婚して16歳年下の夫と穏やかに暮らしている。人生は何があるかわからない……