【京都でナンパ】
20代の頃、京都の友達に久々に会うことになり、駅で待ち合わせ夜の街へ繰り出した。居酒屋で飲んでいたら、男性2人に声をかけられた。俗に言うナンパである。「一緒に飲みませんか?」酔いも回ってたし、なんかおもしろそうな人たちだったので、店を変えて一緒に飲むことにした。2:2で即席合コンみたいな感じだ。今考えると怖いけど。知らない人にナンパされてついていくなんて自ら犯罪に巻き込まれにいくようなものだと思ってしまう。この頃は、ノリと勢いだけで生きていた。
2人とも大阪の人で小学校の先生をしていると言う。1人はそんな感じにも見えたけど、もう一人はワイルドな感じでそうは見えなかった。髭生えてるし。嘘かほんとかわからないけど、今日飲むだけなのでどっちでもいい。見た目はタイプでないが、私はワイルドな方と意気投合した。テンポが合うし!楽しい!向こうもそう思ってくれたのか連絡先を聞いてきたので交換した。その日はもうその店で別れた。友達の方は、もう一人の男があんまりだったみたいだ。
【後日会うことになった】
後日、ワイルドな男から連絡があった。また会いたいと。私もまた会ってみたいと思った。お互いの予定を合わせて、2週間後くらいに2人で会うことになった。会うまでに毎日メールや電話をくれてどんどん気持ちが高ぶっていった。
そして、その日が来た。大阪の梅田駅で待ち合わせた。緊張する〜。待ち合わせ場所にも人が多くてどこにいるのかわからない。どこだ〜?と探していると彼からメールが来た。「もう着いてるで。噴水のそばの……黒い帽子かぶってジャケット着てる……」と説明した。黒い帽子のジャケット……
い、い、た。
何て格好してるんだ……アフリカ大使の人か?
ゾマホンみたいだ。
黒い皮の変わった形の帽子に白い民族っぽいスタンドカラーシャツ。上にはなんかめっちゃデカいジャケット着ている。どういうセンス?もうワイルドとかそういう域じゃない。流行ってるのか?いや絶対流行ってない。
うそやろ。いやだ……絶対一緒に歩きたくない。会ってない時に電話やメールをして勝手に自分の中で美化されていた。こんな顔やったっけ。それに前あった時、こんな変な格好してなかったし。まだ対面してないけど、もう帰りたい。でも、もう電話で私がすぐ近くにいることがわかってるので行くしかない。
【アフリカ大使with地方のアナウンサー】
意を決して彼に声をかけた。「お待たせ!久しぶり!」私は、顔に出ないように満面の笑顔を作って言った。「久しぶり!なんかこの前とちょっと雰囲気違うな」と彼が言った。(おまえもなっ!)私は心の中でツッコんだ。私も、この日のためにはりきって女子アナ風のワンピースを新調した。アフリカ大使と地方のアナウンサー、何とも奇妙な組み合わせだ。
色々とプランを考えてくれていたみたいで、とりあえず駅近くのレンタカー店に向かった。小回りのきく車の方がいいんじゃないかと思ったが、大きなセダンしかなかったのでそれを借りた。普段あまり運転しないから、ペーパードライバーに近いみたいなこと言ってたけど大丈夫か?
こうして“地獄のようなドライブ”が幕を開けた