最近、LINEのトークの一番上に、60kg超えてる女性を探しています…と言う広告がやけに出てくる。何で私の体重知ってるんだろう?偶然?なぜ?こればっかり開く度に出てくる……やめてほしいと思う今日この頃。
今回は、昔働いたことのあるカフェの話。働いたことがあると言ってもほんの少しの期間だけど。
ほぼパソコンを使う仕事しかしてこなかった私。自分のデスクがあって、電話があって、パソコンがあって……そういう内勤の仕事がほとんどだった。30代半ばの頃、全くやったことない仕事がしてみたいと思い、小さなカフェで働くことにした。店の雰囲気も味も食器も全部、好みでよく行くカフェだった。
私が希望したのは、調理の方。厨房には女性が2人、週に何回か洗い場のパートの人がくる。フロアに常時いるのは1人。忙しい時間はオーナーもフロアに入る。オーナーの奥さんも一応毎日顔を出して、何かしら手伝ってくれる。
厨房の2人のうち、1人(A子)が辞めたいらしくその後入れる人を募集してたらしい。だけど次の人が決まらなくてなかなかやめられないと。その人がメインで回してたので、新しい人が1人で回せるくらいに引き継いでからということらしい。未経験OKって書いてたから受けたけど、そんな責任ある仕事、私に大丈夫か?料理は全然得意じゃない。ここで勤めて上手になったらいいなくらいに思ってた。何人か入ったけど、続かなくってやめたと。なんか不安だった。「はじめは大変だけど絶対慣れるから、辞めずにがんばって」とオーナーの奥さんに言われた。
厨房の2人は、私より少し年下。30ちょいくらい。「よろしくお願いします。」と言うと笑顔で挨拶してくれた。これから一番かかわる2人だ。フロアの女の人にも挨拶した。この人も他の2人と同じ歳くらいみたい。感じ良さそう。上手くやっていけるかも……と初日は思っていた。
次の日の朝。モーニングの準備で厨房は戦いのような忙しさ。まだ何もできないので言われたことをとりあえずやる。みんな怖い。ピリピリしてるというより殺気立っている。何がどこにあるかもまだ把握してないので聞いたら、「あぁ〜?ちょっとは自分で探してよ!忙しいんだから!」と言って鬼の形相で睨まれる。こえー。
ゆで卵が茹で上がった。タイマーを止めよう。ちょっと高い位置にマグネットで貼り付けているタイマー。手を伸ばして止めようとするが調子が悪いのかなかなか止まらなかった。手に取ろうとしたら手が滑ってぐっつぐつの鍋の中にタイマーが落ちた。タイマーが茹でられている。うわ!どうしよう!箸で取ろうとするも滑って取れない。おたまですくおう。「アッツ!」急いで取り出そうとして火傷しそうになった。おっと!火を止めてない。火止めなければ……
視線を感じて振り返ると2人が鬼の形相で睨んでる。ずっと一部始終見られてたようだ。めちゃくちゃ怖い。震える手でコンロの火を止めようとつまみを回す。
あーーーーー!
何ということだ!つまみが取れた!
なんで?なんでこんなことが起こる!?
コンロのつまみの部分が飛んでった。
カラカラカラ……
どこ行った。どこだ?
やばい。めっちゃ怒ってるし、めっちゃ見てる。
床に這いつくばってつまみを探す。どこだ。
「さっきから何しよん!?早く火止めて!」
「わ!すみません!」
あった!コンロの下の奥の方に転がってる。早く火を止めなければ。もうとにかくつまみをどうにか拾わなければ。プライドやなんや考える余裕はない。床に真横になった。そして這いつくばって菜箸でどうにかたぐり寄せた。つまみがこっちに転がって出てきた。よかった〜。ホッとしている暇はない。もうほぼ水分が蒸発している。固茹でもいいところだ。タイマーも完全に壊れた。
A子は仁王立ちで顔を真っ赤にして、「もう一体何しよん!?邪魔なだけなんやけど!」と怒鳴った。怖いし、情けないしなんか泣きそうになった。服は、さっき厨房に床に這いつくばったから濡れて汚れている。「汚いから着替えてきて!おっても役にたたないし!」ひどい言われよう。こんなこと言われて腹たつと言うよりも情けない。2日目で何もできないのは当たり前なんだけど、自信喪失して自己肯定感下がって自分が情けなくって底辺の人間に思えてくる。
内勤の仕事でこんな言い方したことも、されたことないし。怒るにしてもこういう言い方はしない。何だろう。体育会系?女の人のキツさもまた違う、ダイレクトに言ってくる。すごく傷つく。自分がある程度長く働いたところなら、言い返せるし「その言い方何?」て言えただろう。何もできないから何も言えない。30過ぎてそんなに人に怒られることなんて無いから余計こたえる。
この日以降、厨房の女たちの怖さ、醜悪な人間模様をもっと知ることになる……